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会長コラム

2025年04月01日

『コメ不足』で考えさせられること

このコラムを書こうとしていたその日のニュースにこんな記事がありました。
『備蓄米の店頭販売始まる 1~2割安く、外食や給食でも』
現在のコメ不足は、昨年の猛暑による不作、輸入米の影響、人々の嗜好の変化などが複雑に絡み合った結果でしょう。
私が小中学生のころ、社会科や家庭科でこんなことを習いました。
『コメの消費量は年々減少しており、日本人の主食はパンやパスタに移りつつある』
当時は子供ながらに、「たしかにスパゲッティやうどん、ラーメン、パンのほうがごはんよりおいしいかもなぁ」と思ったものです。
家庭ごとに食卓の傾向は異なるでしょうが、私にとっては妙に腑に落ちる話でした。
ですから、私たちが思っている以上にコメ離れは着実に進みつつあったはずです。

農林水産省のデータによると、
『お米の1人当たりの消費量は、1962年度をピークに減少傾向。ピーク時には年間118.3キロ消費していたが、2022年度には50.9キロまで減少した』
つまり、半世紀で日本人のコメ消費量は半減したわけです。
加えて、今の日本は本格的な人口減少局面。お米を食べる人が減れば、当然ながら生産者も減る。
さらに、その状況で気候変動が追い打ちをかければ、需給バランスが崩れるのは必然でしょう。

確かに「日本人の主食はコメ!」と昔から言われてきました。
備蓄米の制度は、1993年にコメが大凶作となり、消費者がスーパーに殺到した経験を踏まえ、いつでもコメを供給できるようとのことで、1995年から法律により定められたものですが、私は、政府が備蓄してまでコメを確保する必要性には少し疑問を感じます。

なぜなら、今の日本はおそらく世界で最も多種多様な料理を、最も低価格で食べられる国となっているからです。
それは、外食産業が血のにじむような努力で価格を抑え、耐え抜いてきた結果でしょう。世間の『低価格崇拝主義』に応え続けるには、それしか道がなかったのだと思います。
だからこそ、日本では『誰でも最低限おいしいものは食べられる』という感覚が当たり前になっている気がします。

しかし、この『低価格崇拝主義』による企業努力は、人件費を抑え込むことで成り立ってきたのも事実です。
実際、1991年から2022年までの間にOECD加盟国の平均賃金は約33%上昇したのに対し、日本はわずか3%の上昇にとどまっています。
まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」のようですが、その根底にあるシンボリックな事象が『-コメの備蓄-に象徴される国民の食糧安全保障』なのではないか――
そんな気がしてなりません。

コメが足りないなら、他のものを食べる。食料が貴重になれば、価格は上がる。価格が上がれば、人件費も当然引き上げられる。
そんなふうに、シンプルで自然な経済の流れに身を任せるほうが、むしろ持続的な成長につながるのではないか。
私はそう思うのです。

社内研修中のヒトコマ

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